二群の平均値の差に関して,伝統的心理統計ではt検定を行いますが,ベイズ統計学的アプローチでは正規分布に関する事後分布から直接比較を行います。
この関数は,あたかも伝統的心理統計で行われてきたt検定の関数のように,二群の平均値の差をベイズ的に検討するものです。 Rのもつt.test関数では,帰無仮説を$H_0:\mu_1=\mu_2$,対立仮説を$H_1:\mu_1 \neq \mu_2$としますが,このttest2stan関数は$\mu_1 > \mu_2$という仮説が成立する割合を返します。
ttest2stan(x,y,c,paied=FALSE,iter=2000,warmup=1000,chains=4)
引数 | 説明 |
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x,y | 比較する二つのデータです |
c | ttest2stanは第一の仮説として$\mu_2 - \mu_1 \gt 0$を検定しますが,第二の仮説として$\mu_2 - \mu_1 \gt c$を検証します。デフォルトは$0$になっていますが,実数を指定することが可能です。 |
paierd | TRUEであれば対応のない,FALSEであれば対応のあるt検定をします。 |
iter | stanで反復する回数を指定します。デフォルトは2000です。 |
warmup | stanで反復する際のウォームアップ回数を指定します。デフォルトは1000です。 |
chains | stanで構成するMCMCチェインの数を指定します。デフォルトは4です。 |
基本的にstanのprint関数で出力されるものがそのまま出てきます。
出力 | 説明 |
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mu1,mu2 | x,yの推定された平均値です |
sigma1,sigma2 | x,yの推定された標準偏差です。 |
delta | 生成量での平均値の差です。 |
d_over |
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d_overC |
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豊田秀樹編著(2015) 基礎からのベイズ統計学 朝倉書店